ゲンゴロウについて
ゲンゴロウの仲間は国内で130種類以上記載されてます。その中で最も大きいのがゲンゴロウ(ナミゲンゴロウ)です。ゲンゴロウだと他のゲンゴロウ類と紛らわしいので昔からナミゲン、タダゲンなどと呼ばれてます。
子供の頃、故郷には1cmくらいの小さなゲンゴロウは見つかりましたが、大きなゲンゴロウ(ナミゲン)との出会いは40年前のデパート屋上のペット売り場でした。野生の個体は27年前、山奥の一番上の池、夜明け前から捜索するも1匹も見つからず、寝不足と疲れと諦めでぼーおーっと放心状態で水面を眺めていたら、突然目の前にポカン!と呼吸しに浮上したのでした。その日は、その池で釣りをしてるおっちゃんと会話中、ウキが何度もモゾモゾ。何回合わせても掛からない。そおーっと仕掛けを上に上げてみると・・・。・あのときの衝撃、その光景は今でも鮮明に思い出すことができます。
ゲンゴロウの飼育方法
【容器】
飼育する種類の大きさ・数を考慮し、魚を飼う感覚より大きくてゆったり飼育するのが長期飼育や繁殖成功の一番の秘訣。ゲンゴロウ(ナミゲン)やコガタノゲンゴロウといった大型種は60cm水槽や衣装ケースに2〜3ペア。シマゲンゴロウ属のような中型種は30〜40cm幅のプラケースに3〜4ペアが理想。自家繁殖直後で個体数が増えた際はスペースの都合で一時的に過密な状態でストックすることもできるが、共食いや水質悪化によって死亡しないよう餌やりと、水換えはしっかり行う必要がある。
容器の置き場所は基本的に水温が上昇しにくい場所を選ぶ。(寒冷地では冬季は下がり過ぎない場所を選ぶ場合もある。)水温は30℃を超えないように管理するのが理想だが現実は理想的な水温環境を実現できる置き場所は少なく、必要に応じてエアコン(換気扇),水槽用冷却ファン,水槽用の専用クーラー,遮光ネットなどといった水温上昇対策を併用する。
【蓋】
ゲンゴロウは、エアチューブなどを辿り這い上がったり飛んで逃げることがあるので蓋が必要である。中型種やゲンゴロウモドキの仲間などの場合、ちょっとした隙間から逃げ出すことがあるので注意する。蓋は湿気や熱がこもりにくい通気性の良いものが理想的である。大型種用にはバーベキュウ用の網なども便利。
【甲羅干し用の足場】
ゲンゴロウ類はときどき水上にあがり甲羅干しを行う。このための足場として流木,木の枝,ヘゴ支柱などを水面から突き出るよう立てておく。水面から上に突き出る部分の長さは大型種で5cm以上、中型種で2〜3cm以上にする。このほか水面上に突き出て育つ水草も甲羅干しの足場となる。
【ろ過器】
エアリフト式の底面フィルター,投げ込み型簡易フィルター,スポンジフィルターなどが使いやすい。他にもいろいろあるが、水槽内に強い水流を起こしたり、水面を過剰に波立たせたり、孵化した幼虫が吸水口から吸い込まれることのないよう使用する。なお小数飼育や小さな種類を飼育するときはろ過器を使わず水かえをまめにしながら飼育することもできる。
【底床】
観賞魚用なら何でも良いが、砂利類(大磯砂など)が掃除がしやすく一般的。水草を植えつける場合は4〜5cm厚くらい敷くが、植えつけない場合でも1〜2cm厚くらいに薄く敷いておくと水が白濁しにくく水質を安定させる効果がある。ソイル系の底床は水草の成長促進/産卵促進の効果がある。掃除しにくいので大型種には向かない。
【水草】
水草は足場や隠れ家になるほか、種類によって産卵場所になったり水質維持効果の高いものもある。
ホテイアオイ,アマゾンソード,ナガバオモダカ,,アナカリス(オオカナダモ),マツモ,クロモ,イギリスマツモ,キクモ類,オクラノフサモ,ヤワラゼニゴケ,ニテラ,セリなど
【餌】
アカムシ、エビ、イカ、タコ、貝、ドショウ、ササミ、カエル、コオロギ、蛾の幼虫、その他昆虫、・・・
動物性のものなら大抵食べるが、油脂の出てくる魚肉は適さない。水面に油分が浮かぶと呼吸困難に陥るなど突然死の原因となる。ニボシは便利だが品質や対象種によっておすすめできない。水産加工品は有害な添加物が入っているとしか思えないことが良く起こるので要注意。人間用のものよりペット用の物のほうが安心?
餌やり方法は
個体の状態によって様で一概に言えない。
羽化後間もない未熟な新成虫(秋)
落ち着いた新成虫(秋〜冬)
繁殖期の一ヶ月前〜
産卵中
産卵後
旧成虫(秋〜冬)
長生きさせたい場合
多数繁殖させたい場合
【水換え】
ゲンゴロウは、水が腐って白濁したり水面に油膜が張るとあっけなく死亡してしまう。
しかし魚なら数時間のうちに死んでしまうほど亜硝酸塩濃度が高くなっていても水が澄んでいれば一見平然としている。しかし実は食欲不振、突然死の多発、寿命が短くなる、産卵しない、卵が孵化しないといった影響があり、ゲンゴロウは有機的な水の汚れに強いというのは致命的な間違い。直ちには死ににくいだけで突然死のリスクは高く繁殖はとても無理。ゲンゴロウが住む水は清く水道水より不純物の少ない水。累代するなら水質を重視する事が必要。汚い水が常態化すると体表にカビが付着し寿命を全うさせることが難しくなる。
ゲンゴロウ飼育では観賞魚より水が汚れやすいので、観賞魚以上に水質の維持に努める。水質的にはエビ類が繁殖していたり長期間生存しているようなら合格ライン。キンギョが死亡するようだとアウト。(金魚が即死する水で飼育している人も多い)魚やエビと同居させたことのないかたは是非一度テストしていただきたい。おおさっぱなデータとしては我が家ではTDSで200ppm未満の維持を心がけ、最悪の場合でも300ppm以上(レッドゾーン)にならないよう管理している。(水道水原水100ppm弱の場合)ただし水が白濁した際はTDS値が低くとも緊急事態なのでただちに水換えを行う。ゲンゴロウの飼育や繁殖が苦手な方の飼育水のTDSは300ppm超えや400ppm超えが常態化している事がほとんど。
水換え頻度や換える割合については観賞魚を飼育する感覚で良いが、成虫に限って言えば水道水中に含まれているカルキには耐性があり、水道水で全部換えても直接個体への影響はほとんどない。TDSが300ppm以上になるなど水がレッドゾーンになるまで放置してしまった際は全換水すべき。卵や幼虫にはカルキの影響で死亡するので汲み置き水を使用する。
【他種との混泳】
ゲンゴロウ類同士混泳はお勧めできないが餌やりを正しくおこなっていれば、体格が近いもの同士なら混泳が可能なことが多い。特に動作の敏捷性が同様なもの同士は問題は起こりにくい。私自身はスペースの都合で大型種同士でストックすることがある。ただし、繁殖時には、孵化した幼虫がどの種類か判らなくなったり、卵が集中的に別種に食べられてしまうことがあるので避ける。
また、メダカやドジョウなどの小魚類やヌマエビ類などとの同居は、ゲンゴロウが食べ残した餌の掃除係りとして重宝する。これも繁殖時には同居を避けたほうがよいことがある。
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